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手根管症候群Carpal tunnel syndrome

術式(手術の方法)について

手根管症候群の手術方法には手のひらの根本付近を切開する「直視下手術」と内視鏡を用いる「鏡視下手術」があります。

鏡視下手術は低侵襲で傷が小さいこと(1cm程度)が利点とされていますが、手根管内の滑膜炎※1やアミロイド※2沈着の評価が難しい面があります。
また鏡視下手術では傷の位置が手首の内側になるため、リストカットのあとと誤解される可能性があります。
この点は一般的にあまり触れられませんが、傷あとや整容面に関わってきた経験から傷は「大きさ」だけでなく「位置・見え方」など社会的な要素も重要だと考えています。

私自身以前は鏡視下手術も行っていましたが、近年手根管内を確認することの重要性が報告されていることや、経験上も実際に一定数滑膜炎、アミロイド沈着を確認していることから現在は直視下手術のみ施行しています。
直視下手術は傷が大きくなる印象を持たれるかもしれませんが、形成外科で培った技術で、できる限り傷あとが小さく(2cm程度)目立ちにくくなるよう配慮しています。

手根管症候群に限った話ではありませんが、単に「切らない」「傷が小さい」といった表面的な要素で治療法を選択するのではなく、本質を捉えてより確実な手段を選択することが医療の基本であると私は考えています。

※1 滑膜炎とは
腱や関節の周囲にある「滑膜」という組織に炎症が起こった状態です。
手根管内では屈筋腱(指を曲げる腱)の周囲に滑膜が存在しており、この滑膜が炎症によって腫脹すると、手根管内の圧が高まり正中神経を圧迫して手根管症候群を引き起こしたり、屈筋腱の滑走を妨げて指や手首の動きを制限していることがあります。
そのため手術時に手根管内の状態を確認することが重要と考えています。

※2 アミロイドとは
異常なたんぱく質の一種で、腎臓や心臓などに沈着すると機能低下や臓器不全をきたすことがあります。
手根管内には腎臓や心臓などに先行してアミロイドが沈着するとされています。